プチ旅行!筑後川流域の旅 12年5月10日

 今年のGWはサービス業のカミさんが仕事ずくめで、家族で出かける事が出来なかった。5月10日、カミさんの休みに合わせ有休をとり、福岡にプチ旅行に出かけた。

最近は歳のせいか朝が早い。何時に寝ても7時には必ず目が覚め、当日も同じように目が覚めた。ジュニアは定期便のように6時に目を覚まし、ミルクを飲むともう一度眠りに付く。そんな朝で、粛々と旅立ちの準備を進めた。

 準備といっても私はデジカメと地図で準備完了だったが、出掛けにカミさんはアルプの毛で汚れた車に掃除機を掛けてくれと言う。「なにもこんな旅立ち前に」!非常口の標識の人間みたく気持ちは前のめりで走り出しているのに出鼻を挫かれた訳だ。しかし、汚れた車で長旅をするより綺麗な車内で発ったほうが良いと思い直し、庭のコンセントからカーポートに掃除機を廻した。荷物やらゴミやら、フロアマットやら全部放り出して入念に掃除機をかける。調子に乗って保護艶出し剤で車内を磨き上げ、ポータブルナビをセットし準備OK!

 アルプはどうやら連れて行って貰える時と、置いてけぼりになるときの分別が付くらしい。この日は置いてけぼりを悟ったか、いじけ眼でフローリングにうずくまり眉毛がさびしそうに下がって見えた。哀れなアルプに新品のヒズメを与えてごまかした。

 「さあいくぞ」と、荷物とカミさんとジュニアを詰め込み出発!!時刻は9時近い。平日なのでETC半額は使えない。下道を延々走るのだ。第一目的地の福岡県筑前町、古民家レストランにセットしたナビは13時40分の到着時刻を記していた。昼飯が遅れる急げ〜。しかし、カミさんは「毎週木曜日の特売日で砂糖を買いたい」と言い出し、スーパーに廻る事になった。オーマイガー(泣

 マッ〇スバリューに到着し、ずらりと続く列に並んだ。9時に特売が始まり、お一人様1個限りで砂糖が配られる。「配給か」!。うちは2人とチビ1匹だが、2個しかくれなかった。旅行用にお菓子や飲み物も仕入れ、レジの列に並ぶ。しかしいつも思うが、この店は寒すぎる。生鮮食料品や飲み物のコーナーが多く、店内全体に冷気が満ちているのだ。夏は天国だが、冬なんか最悪だ。むき出しのジュニアの手足が冷たくなっていた。私とジュニアは先に店を出て、駐車場でカミさんを待った。

 「失敗した〜」とカミさんが戻ってきた。何でもレジに私が居なかったので2個の砂糖を1個没収されたらしい。「ケチな店だね・・・」。気を取り直して行くバイ!

 平日の昼間は混み合う国道3号線を敬遠し、熊本駅前を経由して上熊本方面に抜ける。県道31号線を北上し、国内最後の内戦「西南戦争」激戦地の田原坂横を抜ける。国道208号線に突き当たると右折し、すぐ左に県道55号線山鹿植木線を北上する。徹底的に3号線を回避し田舎道をのんびり走る。九州の田舎は、どこに行ってもどこかで見たような懐かしい風景が続き、タイムスリップしたようなのどかな光景が続く。

 この県道は山鹿市内の目前で3号線に合流した。菊池川を渡り山鹿市内だ。市内を抜け県境までは軽快な走りが出来るポイントだが、平日は「トラック銀座か」と言いたくなるほどトラックが多い。県境の小栗峠付近がピークで、荷物を満載したトラックが黒煙をあげ数珠繋ぎだ。セーフティーカー状態で、隊列の一番後ろを走っていたが八女市手前で我慢の限界。県道の抜け道に逃げ込み久留米市を目指す。久留米市内に入るとますます車の量が多くなり思うように走れない。待望の片側2車線道路が一瞬表れ、オーバーテイクを試みるも筑後川の久留米大橋からまた1車線になる。

 今回の旅はこの筑後川流域で見所を廻ろうと言う旅だ。九州一の大河「筑後川」は全長143mで、熊本県の阿蘇北部を源流とし出世魚のように名前を変える。始まりは志賀瀬川→杖立川→大山川となり、日田盆地で九重方面より流れる玖珠川と合流して三隈川となり、日田市より下流の夜明ダムからようやく「筑後川」となり有明海に注ぐ。

 久留米大橋を越え、佐賀県鳥栖市に入ると絶望的にトラックが路面を占拠する。ここ鳥栖は九州でも物流の拠点で、多くの配送センターや倉庫が点在しており平日はトラックで混み合うのだ。到着時刻を気にしながらまんじりとも出来ずジリジリと進む。鳥栖の工業団地を越えると待望の片側2車線だ。鳥栖ICを過ぎ、佐賀・長崎へと延びる34号線に合流するととたんに流れ出した。筑紫野市入り口で冷水越えの別れから右折し、山家バイパスを行く。386号線に突き当たると冷水有料道路の料金所手前で右折し県道77号線をナビ通り行く。

 到着予想時刻は12時15分。何とか昼食の時間に到着出来そうだ。と油断したのも束の間、ナビが突然「目的地付近です。案内を終了します」い言う!?確かに古民家レストランだが、この沢山ある住宅の何処にあると言うのだ。呆然としつつ民家の狭い路地を手当たり次第走る。カミさんが「小さい看板が一つあり、それ以外案内は無い」と言う。隠れ家レストランを探し、周囲2〜3kmほど範囲を広げ走り回った。腹は減るし、時間は経つしイライラするが、ここは冷静にと少し山手へ入ったところで地図と携帯で再確認。店の名前は「さかね」と言う。するとこの道の少し上に「坂根」と言う集落が地図にあった。「ここかも」!行ってみよう。

 意外と近くに小さい看板を発見!ここだ。さらに左に町道(?)を駆け上り無事駐車場に到着。やれやれ。

 

 まずは自分達の食事の前にジュニアにミルクを飲ませる。店で泣かれたら大変だからね。13時少し前にやっと「さかね」に入った。最初に出てきた店員さん(?)は「飛び込み?」と言った。それほど人気の店なのだ。飛び込みなので空いていれば何処でも良いと、ソファー席に座った。

 メニューらしきものは無く、お茶が出てくるとすぐにコース料理が始まった。最初にぶどうジュースと生ハムサラダ。続いて、何のスープだとカミさんと頭が?だらけだったが、店の方に聞くとたけのこのスープだそうだ。次にじゃがいものだんご。いやいや「だんご」の共食いか。そしてさといものグラタンと続いた。どれも創作料理で、シンプルで素朴な味だ。たけのこの煮物、寄せ豆腐、ご飯とお味噌汁と漬物が出て、そろそろ「腹いっぴゃーバイ」。デザートはチーズケーキとコーヒーで、これだけの充実したコースがなんと¥1000なのだ。人気あるはずだよ。納得!!

 店を出ると目の前にネコが昼寝中。ジュニアは恐る恐るネコに近づいてご満悦。のんびりランチを楽しんで、次の目的地太刀洗平和記念館に行こう!

  県道77号線から597号線へ右折し甘木市へ向かう。国道500号線にぶち当たり左折するとすぐにナビが目的地周辺を告げ、大刀洗駅に飛行機のオブジェが目に飛び込んで来た。

 駅構内にはアンティークショップもあるようだが、飛行機の写真だけ撮ると、国道を挟んだ対面の「大刀洗平和記念館」へ向かう。

 ここはカミさんがリクエストしたスポットで、戦時中国内でも有数の航空部隊が置かれた場所だ。長く九州に住むだんごでも知らなかった事だが、終戦間際は東洋一の飛行機台数を保持して、対大陸方面に向け需要な場所だった。
 何故それほど知られていないかと言うと、日本降伏間際にB29の度重なる大空襲を受け、跡形も無く破壊され、その面影を残すものが殆ど無いせいだ。それで、歴史的にも建造物や史跡が残らず、終戦と共に闇に葬られたのだろう。
 しかし、過去をひも解くとここには国内から多くのパイロットを夢見た若者が押し掛け、訓練し戦場に羽ばたいた。街は兵隊さんで活気づき、今は何もないこの平野は多くの人で賑わっていたのだ。

 館内に入ると、すぐに映画上映が始まった。10分ほどなので覗いて行こう。この場所が何故これほど重要な場所になったかと言うと、陸地から40km以上離れている。広大な敷地がある。用地買収が容易だ。など幾つかの理由から選ばれたそうだ。しかしその栄華は長く続かず、空襲により壊滅的な打撃を受けた。

 その中での一番悲惨な出来事は、その空襲の日丁度始業式の最中だった小学校の児童が、空襲警報により始業式を打ち切り非難した。集団で兵隊さんの宿舎へ駆けもどると「ここは狙われるから危ない」と、近くの大きな木がある公園に避難しろ言われた。
 児童達が一斉に公園の大きな木のたもとにたどり着いたところに爆撃が降ってきた。一瞬にして30数名の命が奪われたそうだ。第二次世界大戦の爆撃で一度に無くなった子供の数では一番多いらしい・・・。

 悲惨な歴史をスクリーンで眺めた。そんな事があったなんてまったく知らないかった。自分にも子供が居るが、同じ目にあったらどうなるのだろう。
ここでは、知覧の特攻記念館と同じように戦地に旅立つ若者の今生最後の句が飾られている。
「おかあさん、何一つ親孝行出来ずすいません。明日私は戦地に旅立ちます。この国の為に一華咲かせます・・・」
 死ぬと言う事が解っているはずなのに、何故そこまで晴れやかな華々しい句が書けるのだろうか。戦地に散った若者達の親の心境は・・・?

 現代とはあまりに違う境遇に戦争の凄まじさを改めて感じていた。今となっては過去を塗り変える事は出来ないが、せめてこの苦い歴史を後世に伝え、二度と過ちを犯してはいけないとみんなが感じるところだろう。

 館内には現存している唯一の零戦や、博多湾から引き上げ修復した墜落機が展示され、小規模ながら歴史に触れる良い施設だと思う。

 

 さてと平和記念館見学しか出来ていないが、時間がかなり押して赤ちゃん連れには帰宅の時間だ。帰りは耳納山地を越えて山越えルートを行こう。
国道500号線を甘木ICまで行き、県道33号線を右折。筑後川を渡り田主丸町で国道210号線を左折だ。この界隈は昔の街道の面影を残したノスタルジックな雰囲気だけどゆっくりもしてられない。
 浮羽工業高校付近から右折し、標高802mの鷹取山を越える九十九折りの狭い道で高度を上げる。

 筑後平野から望む耳納山地は屏風のように立ち上がり、その標高より以上の迫力がある。まるで松本市から見た北アルプスと言ったら言い過ぎか。ともかくあえぎながら峠道を行くと、鷹取山入口に至る。登山口と書かなかったのは余りにも簡単に山頂に至るからだ。

 カミさんとジュニアも連れて、歩いて2分ほどで鷹取山山頂だ。展望はほぼ360度に渡り、広大な筑後平野が見渡せる絶景ポイントなのだ。

 九州全部の平野の三分の一を占めると言う筑後平野。遠く有明海に開けた平地は、なるほど飛行場には良い場所だっただろうね。

 しばし展望を楽しみ、カミさんに運転をチェンジし八女郡星野村へ向かう。お茶で有名な八女は山の斜面に造った茶畑が美しい。

 星野村から大分県の上津江村「鯛王金山」へ向かう。この辺りは熊本・福岡・大分の三県境をなし、山深いが標高はさほど無く最後の目的地「鯛王金山」に到着した。

 しかし残念な事にここは17時には閉園するのか、ネコ一匹居ない。ここの坑道を歩いてみたかったんだけど・・・次回に取っておこう!

 

 菊池市へ向かう。県境の穴川峠道を越えると熊本県だ。ドライブばっかりで、少ししか名所を巡る事が出来なかったけど、心穏やかにしんみりとこの旅は終わろうとしていた。またいずれ深く掘り下げよう。長文にて失礼しました。

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